2015年 7月 の投稿一覧

「小指の先の天使」読了。しっかり1冊仮想空間もの。

小指の先の天使 (ハヤカワ文庫JA)

未読だった、神林長平さんの「小指の先の天使」を読了。以下若干ネタバレあり。

テーマは仮想空間とリアルもの。

前知識無しで読み始め、1章まで読み終わったところでこれは微妙かもしれない…と思い至る。が、2章を読み始めると仮想空間・リアルものではないか。しかも年月経ちすぎて過去の技術がどんどん廃れていってしまう系。これらは大好物なので全編かなり楽しめました。

魂の形はシステムによってどう変化するか?

話の舞台としては典型的な仮想空間ですが、他と違うのは仮想空間内で進化(変化)していく人々やシステムにフォーカスが当てられているところ。SFの醍醐味って、こういう新しい技術があったとしたら人はどう変化するのかをイメージするところにあると思うので、まさにこの小説はSFだ!という感じ。

ふと思い出したのは、ゼーガペインで出てきた仮想空間。あっちはシステム的な制限によって同じ時間を何度もループさせなければならない世界だったけど、こっちはどんどん代替わりをしていく世界(容量的な限界はある)。そういう仮想空間のシステム的な差って生み出すものが全然違ってくるなということに思い至る。

魂の形は変わる。哲学や宗教はアップデートされる?

医療や社会構造の変化によって、例えば300年前の人たちと今の人たちは生に対する価値観は異なる。対処できない病気が多かったり、食料問題などが切迫している状況を仮定すると、人生についての考え方は当然変わってくるだろう。哲学や宗教はそうした時々において、人々の悩みを解決するために基本的には存在している。

ただ仮想人格がネット上ないしはデジタルな空間に保存できるとなると、これまで以上に変化の波にさらされてしまうのではなかろうか。特に宗教なんかで無限に生きられる=神みたいな定義をしている場合はどう対処するのだろう。まあ肉体の死こそが人の死であるみたいな定義をするのかもしれないけど、それはあくまで当人的な問題なのであって、生きている人たちにとってそうとは限らない。そうした齟齬をこれからどう処理していくのかな、というのはちょっと興味がある。

フムンがなかった

個人的に好きな「フムン」がなかった。残念。あと「神使機」というメカのネーミングが例によって少しダサい。ネコ出てくる章はすごい良かった。

 

===今日の寝かしつけソング===

涙の種、笑顔の花:中川翔子

七つの海のティコ:第39話「それぞれの旅立ち 永遠の光の輪」レビュー

遂に堂々の最終回

ついに基地は海中に沈み、ヒカリクジラも無事解放された。ナナミたちはこのヒカリクジラを追ってクジラの群れが待つ海域に来たが、そこには巨大な光の柱がそびえていた。光からはナナミとティコだけに届く声が聞こえてくる。光の中でナナミとティコは、ようやく長い間探してきたヒカリクジラの長老と出会えたのだった。そしてナナミたちは長老に、海と生命についてのさまざまな知恵を教えてもらう。
bandai visual

長らく続いてきた七つの海のティコレビューも遂に最終回。前回の南極基地大混乱&ベネックスさん爆死を経てヒカリクジラに呼ばれるナナミ。ヒカリクジラは喋れるのだ。

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2歳前後で子どもがハマった絵本の紹介。

うちの子(男の子)が2歳前後でハマった絵本をご紹介。何かの参考になればいいよね。

しっかり絵本を理解し始めたのは1歳半ばくらいから

読み聞かせをして、なんとなく物語を理解してるのかなと感じ始めたのは1歳半ばくらいから。それまでは話を聞かずに本叩いたりページめくりまくったりとおもちゃ的な扱いでした。物語を理解し始めると、発音しやすい言葉を真似たり食い入るように絵を見たりし始めて、読んでる側としてもちょっと楽しい。

ただ今もテキストが多いものは飽きが早いのか途中で立ち上がってどこか行ってしまったり。1ページに2~3言くらいが限界の模様。というわけで、今回はそのあたりを意識したセレクト。

しろくまちゃんのほっとけーき

名だたる名作、しろくまちゃんのほっとけーき。気に入ったのかしょっちゅう読んでくれと持ってきます。色合いもちょっと洋風、テキストもかわいいので大人が読んでも楽しい。性別問わずなのでギフトにもいいのではなかろうか。

おはよう おやすみ

片面がおはよう、反対からひっくり返して読むとおやすみの2編構成。動物たちの目覚めと就寝を描いたおはなし。話がシンプルで理解しやすいみたい。おやすみからの寝かしつけへのコンボが使えるので、寝かしつけ前の締めにもぴったり。

だるまさんシリーズ

個人的に絵柄が若干好みではないが、子どものウケはばっちり。ダルマがかなりインパクトのある絵柄で身体の部位とかを教えてくれる話(ストーリーは特にない)。「手」とか「目」とかを覚えたのはこの本から。子ども的にはかなりインパクトのある見せ方をしてもらった方が分かりやすいということもあるのか。

14ひきのシリーズ

ねずみの大家族のお話。2ページ見開きでがっつり書き込まれた自然がとても優しい絵柄。細かな部分を見ながら、ここにトカゲがいる!とか話しながら読むのが楽しい。テキストもシンプルで、読み手にけっこう自由を許してくれてる感じがする。自分も子どもの頃に読んだ記憶があるので懐かしい。

くんくんいいにおい

色んな物をクンクンする話。子どもが好きなもの、日常に接するものがいっぱい描いてあるので実生活と関連付けたりできる。絵柄も個性的だけど下手に媚びてない感じがいい。日本の最近の絵本って、なんか変にかわいくさせてるような感じのものがあったりしてちょっと微妙なものがあるけど、これはとてもいい感じ。

面白い絵本、面白くない絵本

色んな絵本を読み聞かせてきて思ったのは、面白い絵本はテンポが良く、子どもが引っかかる要素がたくさんあるものだと気づきました。一方で面白くない絵本は文章や展開のテンポが悪くて読みづらかったり、子どもも反応が薄かったり。これらは妻も同意見。

あと、ストーリーは別に教訓めいてたりオチがあったりする必要は全然ないということ。淡々と「こういうことがありました」とかでいい。スパイスが入るとしても、そこにちょっとびっくりする・変なことが入ってる程度で十分。

まあこれは面白くなかったね、という経験も大事だと思うのでこれからも色々一緒に読んでいきたいと思います。もうちょっと語彙やら増えてきたらぐりとぐらとかかな。

===今日の寝かしつけソング===

サリーのビー玉:新居昭乃

ロリポップチェーンソーをクリア。安定の須田ゲー。

LOLLIPOP CHAINSAW PREMIUM EDITION 【CEROレーティング「Z」】

今更ながら、ロリポップチェーンソーをクリアしたのでレビュー。

自分の買ったバージョン

安かったので360版の特別版。通常版はゴア表現の削除とか、特典コードがなかったりとかなので買う理由はなし。ちなみにヒロインはダブルキャストで、360版だと喜多村英梨さんがデフォ。クリアすると選択できるモードが追加される。

雰囲気は最高。アート的な要素もばっちり。

まあアメリカン・チアガール+チェーンソー+ゾンビと来たらバカゲーの匂いがぷんぷんするけど、ばっちり期待を裏切らない。ノーモアなんかでも見られた映画みたいなセリフの掛け合い、演出が全編にわたって楽しめました。

またステージ選択やメニュー、ローディング中の画面のアメリカン・コミック的なアート表現もすごい。須田ゲーはこういう全体にしっかり馴染んだ世界観を表現してくれるのでそういうところが大好き。なんというか、日本のゲームでこれができるんだ、という感じ。岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」を初めて見た時に、日本の映画なのか!と驚いたのと同じ感覚。

操作性は例によってちょっと変。あと即死QTE多い。

大量のゾンビと聞くと、どうしても無双的な爽快感を最初にイメージしてしまうので最初はちょっとゾンビがサクサク倒せなくてイライラ(強化アイテム+技購入で中盤からはさくさく)。まずは回転攻撃を買うのじゃ。カメラワークも固定されて見にくかったりと、ノーモアでイラッとした所が改善されてない。

あとはQTEが超多い。そこまでシビアな判定じゃないけど、即死系ばっかりなのでわりとコンティニュー画面を見るハメに。長いムービーは飛ばせるけど、短いムービーはスキップ不可なのが微妙にイライラ。あ、でもボス戦の締めQTEは演出的に好き(毎回固定のキーなので間違えることはない)。

ヒロインが超かわいい。脇もしっかり個性的なキャラが固めてる。

とにかく一番の魅力はヒロインのアホさがかわいいところ。彼女のちょっとズレた価値観がアホな設定と相まってこれまで見たことないキャラクターになってます。ボケっぱなしじゃなくて、彼氏(パッケージの生首)が突っ込んでるのでグダグダした感じもなし。

ヒロイン以外にも、島田敏ボイスの師匠とかスナイパーのお姉ちゃん、電波系の妹、中田譲治お父さんとか個性的なキャラがいっぱい。親父が使えるモードとか欲しかった。

総じてオススメ。

ノーモア★ヒーローズにハマった人ならばっちり楽しめると思う。ボリュームはちょっと少なめだけど、まあアクションゲームだしこのくらいが丁度いい気もする。最近は長いゲームが辛くて辛くて…。ちょっと難易度高いとこもあるので、サクサク楽しみたいならイージーモードがオススメ。やり込みしないならこれで十分。

でもこのキャラクターたちがこれでおしまいって言うのはもったいないなあ。いつか須田ゲーオールスターズみたいなの出ないかな。

 

===今日の寝かしつけソング===

Say You Love Me:Patti Austin

七つの海のティコ:第38話「ヒカリクジラの導き 鉄の城の最後」レビュー

悪は潰えるのだ

ルコントは、ベネックスの狙いがヒカリクジラを利用して危険な生物兵器を作ることだったと知り、スコットと協力してヒカリクジラを逃がそうと決意する。やがてヒカリクジラを閉じこめたカプセルは、スコットたちの操作で基地の外に運び出された。時を同じくして、財団の観測基地はヒカリクジラに導かれたように集まったシロナガスクジラやカモメの大群に襲われて崩壊の危機を迎えていた。
bandai visual

放火されたペペロンチーノ号はなんとか無事。クルーたちも元気元気。写真は焼けちゃったけど。

ルコント博士はGMOの狙いが生物兵器の開発と知って袂を分かちます。ヒカリクジラは生物の祖みたいな描写があるから、遺伝子書き換えたりとかそういう兵器だろうか。そしてついにやってきたスコットとルコントの協力。ここまで長かった…。

一方南極基地は錨を上げて移動開始。なんだこの超科学。めっちゃグラグラしそう。そんな中ヒカリクジラを解放しようとした中年2人はあえなく拿捕。ベネックスさんは家族を人質に恐喝。悪い。悪いなあ。

ベネックス爆散

ヒカリクジラは南極の動物たちを召喚。す、すごい。かもめ?たちを迎撃するも南極の極寒の海に落ちていく警備員の皆さん。ヒッチコックの「鳥」みたいになって参りました。移動研究所もクジラの体当たりでグラグラ。動物たちはヒカリクジラのことを記憶してた?

そしてヒカリクジラが神説を提唱するスコットさん。進化を司る生物、まさしくヒカリクジラは神だったのだ。ということはトロンチウムを人間に使ったらなんかすごいことになりそう。

そしてベネックスさんのヘリコプターは爆散。え…これ確実に死んでる…。ひとまず悪は滅びたのだ。ていうか世界名作劇場でこういう死に方あるんだという衝撃。ちなみにペペロンチーノ号の誰も見てなかったのかベネックスさんの死はスルー。

一方でついに解放されるヒカリクジラ。かなり人死に出てるので素直に良かった、という感じが薄れてしまった…。一方で今回最後の見どころ、トーマスとルコント博士の和解。良かった良かった。

海からはナナミを呼ぶ声。ナディアのクジラ、イリオンを思い出す展開に。次回で最終回!

===今日の寝かしつけソング===

帰らざる日々:久石譲